さんじななふん

書き残しておきたいこと。雑多ブログ。

カタストロフと美術のちから展感想【森美術館】

 

先行き不透明な混沌とした時代に、アートだからできること

 

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六本木ヒルズ森美術館で現在開かれている

「カタストロフと美術のちから展」を観に行ってきました~

 ※カタストロフ=大惨事

 

友だちが観たい!と言ったのでとりあえずついていったような私でしたが、、、

この企画展は、東日本大震災アメリ同時多発テロなどをテーマとしたアート作品が飾られていました。

 

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ほとんどの作品が撮影OKだったのは新鮮でしたね。

 

「美術は惨事をどのように描くのか―記録、再現、想像」と「破壊からの創造―美術のちから」という2つのセクションから構成されているこの企画展。

 

セクションⅠは「記録」の意味合いが大きくて、ストレートに惨事に対しての悲しみを表現しているものや、あまり世間では注目されない問題を主として描いているものもありました。

 

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トーマス・ヒルシュホーン / 崩壊

 

部屋に入るとすぐにこの作品が待ち受けています。少しヘラヘラした気持ちで入った私はこの作品に叱られたような気がしました。

段ボールやテープで作られた「崩壊」。まさにカタストロフのイメージをそのまま表現したような作品です。

こんなストレートな作品を1番初めに観てしまうと、体全体に緊張感が走ります。

 

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平川恒太 / Black color timer

 

福島第一原子力発電所事故のあとに、現地で作業にあたった「原発作業員」の肖像が真っ黒な円に描かれています。

この作品、近づくと「カチカチカチ・・・」という音が聞こえてくるのです。

「この音は作業員の心拍を表しているのでしょうか。それともカウントダウンの音なのでしょうか。」という解説の文章にゾッとしてしまいました。

 

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ミリアム・カーン / 原子爆弾

 

こちらはチェルノブイリ原発事故をテーマにした作品。

画用紙いっぱいに描かれ、「怖い」というイメージも感じ取れますが、一方で水彩で色鮮やかに描かれ、美しいとも感じ取れます。(実際、作者は原子実験を美しいとも感じていたとか。)

 

このほかにも様々なカタストロフをそれぞれの形で表現しているアート作品が並んでいました。セクションⅠは悲しい気持ちになるのも多かったかな。

 

そのあとのセクションⅡは惨劇を経験した人々に対してアートがどのように力になってきたか?を私たちに提示します。

 

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アートに何ができるか?

ではなく

アートで何をするか!

である。

 

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Happy Doll Project|Wonder Art Production

願いを込めたマスコットたちが壁一面に、、、

「あー絶対これみんなワイワイしながら作ったんだろうな。」なんて想像まで出来ちゃうくらい可愛くて独創的。

 

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可愛い。

 

アートプロジェクトで地域の人々の気持ちを一つにさせるもの

作品そのものが希望のシンボルになるもの、復興支援の手助けになるもの

様々な形でアートはカタストロフと交わり、人々に力を与えてきました。

 

復興においてアートはなくてはならないものだとは私は思いません。

でも、アートはあるべきものなんだと思っています。

 

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楽しめるなら、それでみんなが笑顔になれるなら、どんどんやるべきでしょ。

 

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ジョルジュ・ルース / アートプロジェクト宮城

 

ある一点から見ると星に見える!!という空間錯視アート。これめちゃくちゃ凄いし粋。

違う視点からも撮っておくんだったな・・・と後悔・・・。

元々の舞台になったのは、宮城県松島のカフェ。震災の影響で解体してしまうことが決定されたあとに作られたアート作品らしいです。

震災のせいで解体する悲しい運命だったカフェが、アートによって希望の星を浮かび上がらせる素敵な空間になったなんて、やっぱりアートは凄いよ。

 

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最後はなんと参加型アート。

参加型とは???と思っていたら白と青のクレヨンを渡されました。

どうやら、壁に自由に描いて良いらしい。

まじか。美術館に飾ってある?作品に手を加えるなんて初めての経験だ。

 

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オノ・ヨーコ / 色を加えるペインティング(難民船)

 

全体像はこんな感じでした。ほとんど隙間もないくらい既にびっしり。

 

ていうか、この企画展、崩壊のアートから始まって、加えるアートで終わるんですよ。

悲しい気持ちになるものから優しい気持ちになれるものまで展示してあるし。アートってこんなに広い側面を持ってるものなんですね。

最後の作品も、「もしかして当事者ってことを伝えているのかな?」とか、「復興の手助けは誰でもできることなんだよってメッセージなのかな?」とか色々と考えてしまいました。

 

色々と考えることのできる企画展な時点で上手いですよね。とても面白かったです。

カタストロフに対して、アーティストの皆さんがこんなにもたくさんのことを感じ取って、意味あるものに仕上げていることに感動しました。どれも真摯な作品。

アートについて詳しくなくても、感じ取れることはたくさんあると思います。

興味を持った方は是非行ってみてほしいです。

 

情報

会 期:2018年10月6日(土)~2019年1月20日(日)

入館料:一般 1,800円 学生 1,200円 子供 600円、シニア 1,500円

六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 カタストロフと美術のちから展 | 森美術館 - MORI ART MUSEUM

 

ではまた